はいでぃんぐ！

【VIP長編】( ＾ω＾)が空挺隊員になったようです　『VIP空挺、出撃』
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【VIP長編】( ＾ω＾)が空挺隊員になったようです　『降下、開始』
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95 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 17:01:12.65 ID:mv2zzPA00
紅い。
その深い紅は魔力を持った紅。
時に人を魅了し、永遠に見つめていたくなるほどの美しさを秘める。
しかし忘れてはいけない。その紅は死への誘いである。

『あの丘をこえて』


隊長「あの塹壕を突破すれば目的地だ。」
曹長「しかし、この人数で突破とは…迂回したほうが懸命です。」
隊長「時間が無い。直ちにあの丘へアンテナを設置せねば、後発隊が穴だらけにされる。」
曹長「むぅ…」


(；＾ω＾)「…。」

ブーンは他の先発隊と合流していた。
B中隊D中隊、合わせて１７名、うち戦闘可能な者は１４名。
多くの者が行方不明になってしまったり戦死した。

腕時計をみる。
後発隊が到着するまで、多く見積もって後一時間。

焦りがブーンを襲う。


96 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 17:10:10.41 ID:mv2zzPA00
丘は目前。
しかしそこに立ちふさがる敵の塹壕。
ラウンジ兵が確認できる。

迂回もできるだろう。
しかし、迂回するとなると、時間もかかる。
敵と遭遇したり、迂回した先にも塹壕があった場合、確実に作戦は失敗する。

塹壕を突破する？
塹壕内に確認できる敵は５人。
しかしそれだけとは限らない。
さらに増えるかもしれないし、仮に敵がガノタへと伝令を送った場合、完全に迎撃体勢がとられ、降下・制圧がさらに難しくなる。

隊長「とにかく、議論している時間はない。塹壕を突破する。これは命令だ。」
曹長「…了解。」

隊長「全員攻撃準備、塹壕を突破する。」
空挺隊員C「な…！俺達に死ねってことですか！？」
隊長「死ねとは言っていない。突破しろと言っている。」
空挺隊員D「意味するところは同じでしょう！」

(　ﾟ∀ﾟ)「確かにな…茂みを出れば塹壕からはまる見えだ。接近する途中に気づかれたらアウトだな。」

隊長「黙れ。いいか、これは命令だ。我々はなんとしてもあの丘を確保しなくてはならん。
兵力も時間も足りない今、任務を遂行するためには多少の犠牲は不可欠だ。」



99 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 17:23:38.89 ID:mv2zzPA00
曹長「…マイク、ケリー、ハンス、ブーン。それにジョルジュは隊長と塹壕の側面を突いてくれ。
他は俺に続いて正面から攻撃をかける。」

曹長が指示を出す。
兵士たちは黙って従う。これ以上は無駄だと理解したらしい。

(；＾ω＾)「そんな…自殺行為だお！曹長も解ってるはずだお！」
曹長「…ブーン、いいか。俺達がやらなきゃみんなが死ぬ。後発隊も全滅だ。
死ぬってわかっていたとしても、やらなきゃいかん。それが兵士ってもんだ。」

(；＾ω＾)「曹長…。」

曹長「わかったら準備しろ。時間がないぞ。」

( ＾ω＾)「…了解だお。」

ブーンとジョルジュは隊長達と共に側面を目指す。

『パカン！』

銃声とともに閃光が走る。
その一発を合図に一斉に攻撃が始まる。

『タタタタタ！』
『パンパン！カキンっ！』

( ＾ω＾)「…！」

さっきまで突撃に反対していた空挺隊員が崩れ落ちるのが見えた。
ブーンとそんなに年が離れていない、若い兵士だった。


101 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 17:36:31.09 ID:mv2zzPA00
「くそ！VIPのやつらだ！」
「ニックスが撃たれた！衛生兵！衛生兵！」

風に流れて敵と味方の怒号が聞こえてくる。
塹壕は近い。

隊長「よし…いくぞ！」

隊長の合図で一斉に立ち上がる。

ラウンジ兵「な…！？左にてｋ…！」

そこまで言うとラウンジの兵の頭が吹き飛ぶ。
まだ暖かい血がブーンの頬にかかった。

側面から回り込んだ分隊は一斉に塹壕へなだれ込む。

空挺隊員「クソッタレが！」

銃庄がラウンジ兵の顎に炸裂し、骨が砕ける嫌な音と共に崩れ落ちる。

『パパパパパ！』

トンプソンが火を噴く。
短時間で大量の弾をばら撒くSMGは接近戦で効果を発揮する。
弾丸は次々と敵の体に吸い込まれ、人を肉塊へと変えてゆく。



105 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 17:46:40.69 ID:mv2zzPA00
>>104
( ＾ω＾)正式名称は確か　MAUSER　Kar98k　だお
旧ドイツ軍の正式採用歩兵小銃だお


106 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 17:47:46.50 ID:mv2zzPA00
空挺隊員「塹壕は片付いた！」
曹長「負傷者を塹壕に運べ！急ぐんだ！」

隊長「よし！丘へアンテナを設置する！続け！！」

隊長が丘へと登り、後ろにアンテナを持った兵士達が続く。

( ＾ω＾)「よかったお！うまくいった…」

『ババババババババババ！！！』

辺りに布を切り裂くような音と共に風切音が響く。

(；＾ω＾)「ふ…ふせるお…！！！」

ブーンがとっさに叫ぶ。
隊長「？……！！！」

瞬間、丘へと駆けていった兵士達が真っ赤な鮮血と内臓を撒き散らし次々と倒れていく。

(；ﾟ∀ﾟ)「しまった！MG42！！丘の左！」

目を向けるとそこには土嚢が詰まれ、MG42と呼ばれる機関銃が設置されている。

曹長「く…！油断した！！」

空挺隊員「隊長たちは！？」



109 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 17:59:20.99 ID:mv2zzPA00
ブーンの目線の先にはMG42によって引き裂かれた空挺隊員達が倒れていた。
中にはまだ息があるものもいる。

(；ﾟ∀ﾟ)「くそ…あれをどうにかしないと、丘にはたどり着けん！」

残っている空挺隊員は６名、強行突破するには圧倒的に人数が足りない。

時間が無い。このままでは…。

(；＾ω＾)「うああああああああ！！！！」

ブーンが絶叫しながら走り出す。

(；ﾟ∀ﾟ)「ブーン！バカ野郎！」

MG42の火線はブーンを追う。
地面をえぐりながら火線が伸びるのだが、当たらない。
ブーンは装備を外し、銃を捨てたブーンの速さは並みの速度ではなかった。
丘の角度も影響し、弾丸はブーンを捉えることができない。

(　ﾟ∀ﾟ)「…！今だ！」

MG42の射手はブーンに気を取られている。
今度はジョルジュは全力で駆け出す。


113 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 18:10:32.38 ID:mv2zzPA00
(；＾ω＾)「⊂二二二（；＾ω＾）二⊃　ブーン！！！」

射手「くそ！なんであたらないんだ！」
給弾手「よく狙えよ！…！おい！右だ！肉薄してくるぞ！」

給弾手がジョルジュに気づき、射手に伝えた時にはすでに手遅れだった。
ジョルジュはサイモンから受け取ったサイドパックを空けて、中身を握る。

『ピン！』

鉄が弾ける甲高い音が聞こえると、ジョルジュは思いっきり腕を振りかぶり…投げる！
全力で投げられた鉄の塊は、放物線を描いて飛んでゆく。

射手「…！！しまっ…！」

射手の目に映ったもの。
それはジョルジュから投擲された手榴弾だった。

『バゴオオオオオ！！』

射手の足元に転がった手榴弾は、給弾手を巻き込んで二人を吹き飛ばした。

(　ﾟ∀ﾟ)「ブーン！アンテナを設置しろ！」
( ＾ω＾)「わかったお！」
曹長「衛生兵！MG42にやられた奴を助けるぞ！」

ブーンはアンテナを拾い、丘を駆け上がる。


115 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 18:21:12.67 ID:mv2zzPA00
(；＾ω＾)「急ぐお…！」

頂上へつくと組み立てを開始する。

( ＾ω＾)「よし！これでいいお！」

曹長「周辺警戒！アンテナを守るぞ！」

振り返ると、暗闇でよく見えないはずなのに兵士達の流した血で、丘は紅く染まっているようにブーンは見えた。


……

『ゴオオオオオオ…』

(,,ﾟДﾟ)「よし！降下予定地点までまもなくだ！先発隊は役目をこなしたらしいな！」

(‘A｀)「ブーン…生きてろよ！」
(´･ω･｀)「いまいくよ、ブーン！」


124 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 18:31:13.77 ID:mv2zzPA00
『…ボン…』

『ボン…ボン！』

『ボン！ボボン！ズガン！ズガン！』

(‘A｀)「うああ…な、なんだ！？」

(,,ﾟДﾟ)「ちっ！対空砲火だ！降下する前にあの世行きなんて洒落にならねぇぜ！」

『バゴオオオオオオ！』

開いたハッチの向こうに火達磨になる輸送機が見えた。

(´･ω･｀)「これはいよいよやばいね。」
機長「だ…だめだ！対空砲火がきつすぎる！これ以上は無理だ！飛び降りろ！」
(,,ﾟДﾟ)「バカ言え！速度も落ちきってないのに飛び降りろだと！俺の部下を殺す気か！」
機長「嫌なら知るか！俺は引き返す！」

『バガァァァン！』

対空砲が目の前で炸裂し、コクピットの防風が砕け散る。

機長「グアッ！」
副機長「うあっ！き、機長！！」


130 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 18:44:13.21 ID:mv2zzPA00

そうか…俺達は同じ空でつながっていたんだ…

みんな…エリアVIPに帰ろう…


131 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 18:45:08.44 ID:mv2zzPA00
(,,ﾟДﾟ)「どうした！！」

ギコがコクピットを覗き込む。

機長「…。」
副機長「ああああ！前が…前が見えない！」

そこには首に大きな破片が刺さった機長と、顔面に無数の破片を受け、血だらけの副機長が悶えていた。

(,,ﾟДﾟ)「くそっ！野郎共！死にたい奴も死にたくない奴も飛び降りろ！」

ギコ大尉を先頭に次々と飛び降りていく隊員達。

(‘A｀)「畜生！ついてねえや！」
(´･ω･｀)「イチかバチかさ、いくよ！」

暗闇へと飛び出す。すると…

『バゴオオオオオ！！！』

二人が飛び降りた後、自分達の乗っていた機体が火に包まれるのが見えた。
中にはまだ仲間が乗っていたはずだ。
二人は目を逸らすことしかできなかった。

暗い夜空を落下傘が埋め尽くす。
空挺隊員達の長い長い夜は始まった。

作戦　開始


141 名前： ◆MNZAjfMp42 [] 投稿日：2006/02/19(日) 18:58:15.97 ID:mv2zzPA00
次回予告


賽は投げられた
次々と降下を開始する空挺隊員達
町は炎に包まれる

(´･ω･｀)「このままじゃ皆殺しだ！」

暗闇を照らす炎
弾丸の飛び交う町を駆け抜けるドクオとショボン
底をつく弾薬

('A｀)「ショボン！そっちのドアをふさげ！」

絶対絶命の二人に対し、襲い掛かる敵達
彼らに生き残るすべは残されているのか…

次回『燃える町・前編』

(；＾ω＾)「ちょwwwテラアブナスwwwww」


続き↓
【VIP長編】( ＾ω＾)が空挺隊員になったようです　『燃える町・前編』
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